ガンマGTR v-spec |
09:54 |
僕のような酒好きで、不規則極まりない生活をするものにとって、
健康維持がいかに尊いものかと、体調を崩した時にはじめて思うものである。
前の会社で年に一度人間ドックに行かせてもらっていた。
それがきっかけで、事務所を移ってからも、年に一度はドック入りしておるわけです。
去年もお世話になった医療機関に、今年もまた、家族とともにドック入りした。
ドック自体はすでに5回目くらいで、僕は28歳くらいから行っていることになる。
体のどこかが悪いからではなく、悪くない結果をつまみにおいしくお酒を頂きましょうという考え方である。
即日わかる範囲での結果は、酒のおかげで、中性脂肪はわずかに高めであるが、至って健康であった。
こんな体に産んでくれた両親に感謝したい。
ドックの最難関である胃部の撮影。
バリュームは生ビールと同じくらい冷やした方が飲みやすい。
「はい、息とめています。はい、こちらがわからグルーっと回って腹這い。
はい気持ちこちら側にひねってください。はい、息止めてー」
ドS教官にしごかれるドジで間抜けな亀な気分である。
キュイーン、キュイーンとメカニカルなサウンドを奏でながら動く、名づけるなら「テクニカル一畳間」もしくは「ドSいかだ」の上でまっさかさまにされ、内臓の写真をとられているさなか、
その教官が言った
「そうそう、うまい。」
うれしかった。
俺の前にアクロバット撮影されていたサラリーマン風の男の人は、どうしても教官のディレクションの方向性を理解できなかったらしく、
「腹這い、腹這い、それ仰向けです。」
「おなか膨らませてください。映りませんよー」
と、撮影は難航し、ことあるごとに教官はオペレーティング室から離れ、男のいるとなりの検査室に入り、体の角度を直したりしていた。
オペレーティングルームに戻って椅子に座って撮影を再開しようとするそのたびに
順番待ちしている僕に聞こえるように
「フー」っと口いっぱいに溜めた息を一気に吐き出していた。
「へたくそが」
その背中が言っていた。
その鬼教官にほめられた。
俺はほめられた。
俺はほめられて伸びるタイプだ。
胃を膨らませるための炭酸のせいで、次から次へとこみあげてくるゲップを我慢しながら、
俺は少しだけ笑っていた。
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マシコタツロウ